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別の有料老人ホームに移ると自己負担額が月約2600円に

 ところが、マモルさんとその家族はこのデイサービス中心のケアプランを作ったケアマネに会ったことさえないという。このプランを作ったケアマネに取材したところ、マモルさんに面談しておらず、「前任のケアマネがつくったプランをそのまま使った」と明かした。このホームの利用者を担当することになったのは、2年前にケアマネの資格を取ったばかりのころからだという。

 当時、たまたま中野区から依頼された要介護度を認定する調査のために、このホームを訪れた。そのとき、「うちでやらないか」と施設長から声をかけられたという。それは、入居者十数人分のケアプランを一手に引き受けないかということを意味していた。資格を取ったばかりで仕事が無くて困っていたケアマネは恩義を感じたという。

「ホームから利用者をいっぺんに紹介されたのはありがたかった。施設長の人柄にもひかれてホームが勧めるデイサービスをプランに入れることで少しでも運営に協力したいと思いました。前のケアマネが利用者とトラブルになってやめたと聞いたので、利用者には会わないほうがいいと思っていましたが、間違いでした」

 デイサービスを拒否し続けたマモルさんは、最後は施設長とけんかになり、ホームを出て別の有料老人ホームに移った。そこでマモルさんが受けた介護サービスは、それまでとは全く違う。新しいケアマネは、マモルさんが嫌うデイサービスはプランに入れず、週1回は外出を介助するサービスを入れた。あとは週2回、入浴介助などが組み込まれた。介護保険の利用額は前のホームの10分の1以下に減り、マモルさんの自己負担額も月約2600円まで減った。

 東京都は14年、マモルさんが前に入っていたホームの調査に入り、「デイサービスばかりがついているのは不適正だ」と改善を促した。

【前編を読む】“60代から100歳近い男女が雑魚寝”“汚物の臭気が部屋に充満” 劣悪な介護現場の実態に迫る

ルポ 老人地獄 (文春新書)

朝日新聞経済部

文藝春秋

2015年12月18日 発売

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