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多くの獣医師たちへの幻滅

 太田氏を突き動かす原動力の1つが、あまりに冷淡な他の獣医師たちへの幻滅である。

 怪我をしている猫を保護したと連絡しても、「いやあ、うちでは引き取れません」「飼い猫じゃないんでしょ?」とほとんどの病院に診療を拒否されるのが現実だ。つまり、高額な治療費が得られる飼い犬や飼い猫だけを相手にし、お金にならない動物は診たくないという獣医師が多いのだ。

太田快作氏 ©積紫乃

 太田氏は、友人を保護活動に誘った時のことを残念そうにこう語る。

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「僕が保護活動をしているのを知っている友人に『手術しに来てくれない?』と誘ってみたんです。そうしたら、返事は『なんのメリットあるの?』でした。それがふつうの獣医師の感覚なんでしょうか。

 福島に取り残された犬や猫だって、ボランティア団体がシェルターを作って保護していますが、日本全国にはすでにたくさんの動物病院があるじゃないですか。その病院が1匹ずつでも引き取ってくれれば、かなりの命が助かるはず。でも、そんな病院はほとんどありません。私にはそれが理解できないんです。子供の頃は、子猫をみつけても自分には助ける力がありませんでした。でも今なら、その命を助けられる。自分が持っている設備や能力やお金を、動物のために使わない理由がまったくわからないんです」

野良猫の生活環境は厳しい(写真はイメージです) ⒸiStock.com