日常的なヒゲ剃りによるダメージは蓄積
しかし男性の肌は、Tゾーン(額と鼻部分の肌)の皮脂分泌が盛んな一方、Uゾーン(頰と顎部分の皮膚)では、肌の水分量、バリア機能ともに低く、その原因のひとつとして「T字カミソリ」でのヒゲ剃りがあげられています。ヒゲの切断と同時に、角質層表面が剝がされてしまうため、バリア機能の損傷や、炎症を引き起こす可能性があります(*3)。長期間、ヒゲ剃りを習慣にしてきた50代男性を調査した結果では、肌は乾燥してごわつき、皮膚色は赤黒く、顎下には女性にはみられない色素沈着が目立っていたことからも、日常的なヒゲ剃りによるダメージは、蓄積すると考えられます(*4)。
*3 *1同
*4 久留戸 真奈美、菅沼 薫(株式会社エフシージー総合研究所)「20代と50代の日本人男性の肌調査 長期電気シェーバー使用者と安全カミソリ使用者の肌」『日本化粧品技術者会誌』2020年54巻1号、p.48-58
特にTゾーンとUゾーンの肌状態のギャップを考えると、実は女性よりもスキンケアが難しいのが、男性の肌の特徴といえるかもしれません。それにもかかわらず、男性の肌に対する意識は未だ低く、2019年に実施された20代男性と50代男性を対象にしたアンケートでは、ほぼ半数の男性がスキンケア用品を使用せず、ヒゲ剃り後に乳液やクリームを使用している人は、わずか4分の1程度に過ぎない現状が明らかになっています(*5)。女性に比べ自分の肌を観察する習慣に乏しく、肌の不調にそもそも気づかないケースも多く、必要なケアができていない方が多数を占めているのが現状です。
*5 *4同
「性差」よりも「肌個性」に合ったケアが重要
このように、男性の肌固有のトラブルはありますが、男女ともに「バリア機能」が正常に働いている肌が「綺麗な肌」であることに変わりはないと、私は考えています。
ポーラが18~64歳の男性131名を対象にした調査によると、男性の肌分析結果が、女性も含めた蓄積肌データの散布図の範囲内に点在したことから、実は男性・女性の性差よりも、個々人の間のバラつきが大きいことが示唆されています。 そこから、男女問わず、肌には一人ひとり個性があり、「性差」よりも「肌個性」に合ったケアが重要である、という結論を導き出しています(*6)。
*6 2021年3月1日 株式会社ポーラニュースリリース「男女問わず肌には一人ひとり個性があり、 「性差」よりも「肌個性」に寄り添うケアの重要性を改めて提唱」
自分自身の肌をよく知り、それに合ったスキンケアを探していきましょう!
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