意外と知らない車検費用の実態
一般に「車検費用」と呼ばれているものは、大きく「法定費用」「代行手数料」「整備費用」の3つに分けて考えることができる。このうち、いかなるケースでも必要になるのは「法定費用」だけであり、業者に点検・登録手続きを依頼する場合には「代行手数料」が、さらに点検を通じて整備が必要になった場合には「整備費用」が加わることになる。
つまり車検を安く済ませるには、「法定費用からの加算分」をいかに抑えるかがポイントになる。自身で陸運局に車両を持ち込む「ユーザー車検」であれば、当座の支払いは「法定費用」のみ、すなわち「自動車重量税」「自賠責保険料」(+印紙代)だけで済む。1.5t以下のコンパクト~普通クラスで45,000円程度だ。
しかしもちろん、ユーザー車検においては車の使用者に全面的な管理責任が帰せられる。法定点検を自ら実施し、おかしなところがあれば自身で整備するか、難しければ業者に依頼する必要があるわけだ。
法定点検に特別な資格は必要ないが、車体を持ち上げなければ確認できないポイントも多く、一般のユーザーが自分で済ませるのは現実的ではないかもしれない。心理的にも、自身で点検を済ませることに不安を抱くことがほとんどだろう。
ディーラー車検は「整備費用」が収益の軸
費用と手間、安心感のバランスを考えたときに、有力な選択肢となるのが車検専門店である。「車検のコバック」「車検館」「車検の速太郎」といったチェーンが例として挙げられるが、これらはディーラーや一般の整備工場とはビジネスモデルが異なっている。車検に特化したサービスにより回転数を上げ、車検費用のうち「代行手数料」を基軸に収益を上げるモデルである。
一方、ディーラーや一般の整備工場は、「整備費用」を主体とする収益モデルになっている。リソースを車検のみに割いているわけではないので、専門店のような効率化は難しい。なるべく部品交換によって、利幅を広げることが求められることになる。
とくにディーラー車検においては、「その次の車検までノーメンテで乗れる」ことをユーザー側が期待しているケースも多い。それゆえに、現状ではまだ限界に達していない部品であっても、予防的に交換しておく方針で点検が行われる。「あと1、2年は持ちそうだが、念のために替えておく」という箇所が重なり、高額な見積もりになるわけである。