「慶應一色」の東側、「商店街カラー」の強い西側
もうすでに日吉駅に何があるのかという問いの答えが出てしまったので家に帰っても良いのだが、それでは編集氏から「もっと何かないのか」と怒られてしまう。そこでどうせ慶應の塾生たちが日常を過ごす日吉駅の西側も歩いてみることにする。
日吉駅西側は、慶應一色の東側に対してどちらかというと商店街色が強くなっている。グラウンドや普通部など慶應関連のあれこれはもちろん西側にもあるのだが、それ以上に、遊んだりメシを食ったり買い物をしたりするための施設はほとんど西側に集まっている。
いかにも“私鉄沿線”らしい小さくて、そして歩道と車道の区別がいまひとつつきにくい駅前広場を中心に、放射状に商店街が伸びている。線路沿い、北に向かっているのはサンロード。その隣には浜銀通り、駅の正面からまっすぐ伸びるのが日吉中央通り、南西に向かって慶應普通部方面にゆくのが普通部通り。それらの通り沿いにはいくつも飲食店やら居酒屋やら美容院やら何やらが建ち並んでいる。
「こういったところからも日吉は東急が切り開いた町であることがわかる」
こうした放射状のメイン通りは円弧状の路地で互いに結ばれていて、そこもいかにも商店街、繁華街のようなお店が並ぶ。北側、浜銀通りとサンロードの間にはゲームセンターが集まる一角もあったりして、ちょっとした裏通り感が醸されているのはいかにも学生街というところなのだろう。
放射状のメイン通りに円弧状の路地というこの日吉駅前の道筋の構造。これは、同じ東急東横線では田園調布でおなじみだ。あちらは徹底的に住宅街になっていて飲食店はもちろんゲームセンターなんてとんでもないのだが、構造としてはよく似ている。フランスは凱旋門周辺に範をとったようで別に東急の専売特許ではないのだが、こういったところからも日吉は東急が切り開いた町であるということがわかるのではないかと思う。