「僕のYouTubeチャンネルは質のいいお客さんがたくさん見てくれています」と語るピストン西沢。人気DJの彼にYouTubeでやってみたいこと、そしてラジオ業界が抱える“問題”を尋ねた。(全2回の2回目/#1を読む)

©文藝春秋 撮影/石川啓次

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『GROOVE LINE』のリスナーとの信頼関係を放ったらかしにしたくなかった

――24年半に渡って続いた『GROOVE LINE』が終わって、2カ月あまりが経ちました。改めてピストンさんにとって、『GROOVE LINE』とはどんな存在だったのでしょうか?

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西沢 僕は終わったことは振り返らない性格なので、特に感慨も何も無いです。今は自分のYouTubeチャンネル「ピスチャンネル」もやっていますし、イベントを開催すれば満員御礼なので。時にはゲストをお招きしつつ、『GROOVE LINE』を放送していたのと同じ16時半からの生放送を中心にやっています。

 せっかく『GROOVE LINE』で築いたリスナーとの大事な信頼関係を放ったらかしにしたくなかったからね。

©文藝春秋 撮影/石川啓次

――YouTubeチャンネルを開設したのは?

西沢 10年ほど前かな。登録者数は『GROOVE LINE』終了前から3万人くらいいたし、車のコンテンツもまだ自動車関連のYouTuberがほとんどいない頃からやっていたんだけど、いかんせん『GROOVE LINE』で時間がなかったし、全くちゃんとやっていなかった。黎明期から手を付けていなかったことが悔まれます(笑)。

 番組配信は僕を含めて2人というかほぼ1.5人分みたいなマンパワーで回しています。いまはラジオじゃ出来なかった試みも考えながら、より面白いと思ってもらえるようなコンテンツを作るための土壌作りを模索している段階ですね。

――ラジオとYouTubeの違いについて感じることは?

西沢 圧倒的に異なるのは番組の自由度。人気が無かったら勝手に終わればいいだけだし、「誰々を投入してこうテコ入れだ」なんてとやかく言われることもない。YouTubeにもルールはあるけど、ラジオやテレビはもっと厳格でしょ。当たり前だけどスポンサーもいるし、国から免許をもらっている放送事業者としての立場もあるし。

 YouTubeってちょっと雑誌に近い。表紙を見て、何が書いてあるかを確認して、ある意味、お客さんが自発的に見る。しかも基本的には無料だから、10分の動画を作っても30秒しか見てもらえないようなことだってざらにある。作り手はどうやって最後まで見てもらえるかと努力するし、肥えた目のユーザーも育っていく。