「『別の人を嵌めるために財布を盗った』と言ったり、当初は財布から金だけ抜いたと言っていたのが財布ごと捨てたと内容が変わったり、発言が二転三転する。謝罪に一緒に来た“夫”とは、だいぶ前に離婚していたことをこの時の保護者会で初めて明かしました。A子は福岡に住んでいるのですが、練習試合にも欠かさず来てホテルに連泊したり、娘をUSJに連れていったり野球部に差し入れをしたりとお金持ちのイメージがありました。ブランド品が好きだということも聞いたことがあります。しかしピアノの講師をしているなどと言っていたのも嘘で無職だったらしいんです。A子は周囲にずっと嘘をつき続けていたんです」
前出の野球部関係者もこう明かす。
「本人が盗んだことを認めたのは3件ですが、野球部内でお金がなくなったケースが他にもあります。Aくんの母親は『カバンから財布を取り出したが思いとどまったケースも1件ある』とも話していて、被害の全容はよくわからないんです」
さらに金銭トラブルは窃盗だけではなかった。
「野球部に差し入れる弁当を買う焼肉屋で『後で払うから先に弁当と領収書が欲しい』と領収書をもらっておいて、戻って来た時に『もうお金は払った、領収書ももらっている』とごねたんです。結局お店にお金は払わず、しかも他の保護者に『野球部に弁当を差し入れろと強く言われているから半分負担して』と野球部をだしに嘘をついて10万円を受け取り、着服していたんです」(同前)
天理高校は「学校としてお答えすることはできません」
保護者会にA子とともに現れた元夫は事件について「もう二度とA子を天理に関わらせない」と謝罪した後、「(A子は)病気だ」と断言したという。たしかに精神疾患の一種に「クレプトマニア」と呼ばれる病気があり、万引きや窃盗が止められないという症状がある。
ただいくら元夫が「病気だ」と言っても野球部内の処罰感情は和らぐことはなかった。それを受けてか、A子は11月に奈良県警に窃盗容疑で逮捕され、12月に起訴されたという。
「元夫によると、過去に地元の福岡でも窃盗を犯したことがあるようです。さらにA子の周りでは昔からお金がなくなることもあったと聞きました。私が許せないのは、春夏の甲子園出場という歴史を残した天理野球部の112期を汚したこと、A君を含む選手みんなが苦しい練習に耐えて結果を出している中で保護者のA子が犯罪に手を染めていたこと、仲間を裏切り続けていたことの3点です」(前出の保護者)
天理高校に取材を申し込むと「学校が事件発生を把握したのは、窃盗行為を行った者がほぼ特定されてしばらく経ってからのことです。しかし当該保護者の生徒が、高校生として学校生活を普段通り送れるよう見守る必要があります。つきましては保護者のプライバシー、及び生徒のプライバシー等に配慮する必要がありますので、学校としてお答えすることはできません」という回答だった。
A子の裁判は、1月から2月ごろに開かれる予定だという。