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「公正取引委員会がこれまで切り込んでこなかったアルゴリズムの運用について、裁判所が違反と判断したのは画期的でした。一事業者がアルゴリズムを開示させた意義は大きい」

 だがこの判決文は、すぐに全文が見られたわけではない。公になったのは判決の結論部分のみだった。というのも、食べログ側が、訴訟の当事者以外は見られないようにする閲覧制限を申し立てたからである。

「彼らが閲覧制限を申請したのは、チェーン店の点数だけを下げる『チェーン店ディスカウント』が行われたことがわかる部分。具体的にどんな店舗を対象にしたのか、知られたくなかったのでしょう」(任社長)

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 裁判所はこの食べログ側の申し立てを、どの程度認めるのかどうかを検討。今回、一部は黒塗りとなったが、アルゴリズムの変更などについて言及している部分は、ようやく閲覧できるようになったのである。

点数急落の対象となった「飲食チェーン一覧」

 例えば点数急落の対象となったチェーン店については、こう記されている。

〈本件変更については、チェーン店のうち、いわゆるフランチャイズチェーン店はその対象とされる一方、ファミリーレストランやファストフード店はその対象とされなかった〉

 対象店舗は食べログHP上にある「飲食チェーン一覧」に掲載されるが、それにはある条件がある。

〈掲載されるか否かは、当該飲食店につき、(1)同一屋号かつ同一運営主体であること、(2)最低2店舗以上が運営されていること〉とされている。任社長が言う。

「チェーン店と一口に言っても、すべてのチェーン店を網羅しているわけではない。食べログ側が恣意的にリストを作っているのです。2019年5月時点で飲食チェーン一覧に掲載されているのは、約3800チェーンだけ。私たちKollaboのお店の中でも、リストから漏れて点数が下がっていないところもあります」(同前)

 裁判開始後、この「飲食チェーン一覧」には事業者が追加され続け、現在では約6000チェーンが名を連ねている。新たに追加されたチェーンもディスカウントの対象とされ、点数が下げられたという。

判決文には、点数急落の対象となったチェーン店も記載されている

 判決文では、チェーン点の評価が下げられていたことを認めた上で、次のように指摘している。

〈本件変更は、食べログに掲載されている飲食店のうちチェーン店についてのみ適用されるものであるところ(中略)原告のようにチェーン店を運営する事業者が被る不利益の程度は大きいといわざるを得ない〉

 ただ、任社長によれば、判決を受けても、食べログの点数見直しは行われていないという。食べログ側は控訴し、徹底して争う方針と見られる。