「2:8の法則」というのがあります。20%の仕事が80%のバリューを生んでいる。あれもこれもと手を出さず、インパクトのある20%の仕事に集中して80%のバリューを生んだら、次のプロジェクトのインパクトのある20%をやれば、160%となる。省いた8割って実はやらなくてもさほど支障のない仕事だったりする。この繰り返しが彼らの圧倒的な生産性を生んでいるんです。
マインドセットの本質を理解し、仕事と人生が激変
――日本中で「生産性の向上」が課題となるなか、非常に示唆に富んだ視点ですね。
牛尾 「生産性の高さ」といった時に、日本人は効率よく「沢山つくる」ことをイメージしがちです。でも生産性の高さは量じゃない。いかにこれまで世の中になかったイノベ―ティブでインパクトのある仕事を示すかが、真の生産性です。
いまの上司のインド人と「やることリスト」の整理を話し合うと、「これ、スコープアウトしようか」と簡単にタスクを落としていきます。そんな彼女のもとではチームで無理をする人が誰もいなくて、プロジェクト全体がすごくうまく回っている。「Be Lazy」はほんの一例ですが、属人的な才能に依るのではなく、独自の思考法(マインドセット)が高い生産性を生み出している。
詳しくは本書に書きましたが、開発の最前線で行われている「脳の負荷を減らす」スキルの数々は、ADHDの人にとっても圧倒的に「優しい」働き方でした。そのマインドセットの本質を理解したとき、文字通り、僕の仕事と人生は激変しました。
「やり方」の工夫ひとつで、長年抱えていた「不全感」から抜け出せ、エンジニアにとって最高峰のドリームチームで日々楽しく働けるところまでもっていけたんです。
生産性を爆上げするスキルは、誰でもできる
――非常に希望のもてる話ですね!
牛尾 いま一流の人たちに囲まれて、最高のスキルを学び放題の環境です。僕はそれを日本の読者にお裾分けする気持ちで書きました。
生産性を爆上げするスキルは、業界・業種を問わず、日本で実践できないことなんて何一つありません。三流の僕でもここまでブーストできたんだから、読者のみなさんだったらもっと成果を出せると思います!
牛尾剛(うしお・つよし)
1971年、大阪府生まれ。米マイクロソフトAzure Functionsプロダクトチーム シニアソフトウェアエンジニア。シアトル在住。関西大学卒業後、大手SIerでITエンジニアをはじめ、2009年に独立。アジャイル、DevOpsのコンサルタントとして数多くのコンサルティングや講演を手掛けてきた。2015年、米国マイクロソフトに入社。エバンジェリストとしての活躍を経て、2019年より米国本社でAzure Functionsの開発に従事する。著作に『ITエンジニアのゼロから始める英語勉強法』などがある。ソフトウェア開発の最前線での学びを伝えるnoteが人気を博す。