そういう面白さの根源にあるのが、絶妙なコース設定だと思う。スタート直後で駆け引きが激しい1区、比較的フラットで高速レースが展開される2区と9区。他に例を見ない山登りコースの5区と、逆に山下りになる6区。海風の影響を受けがちな4区・7区と各区間に多様な表情があり、さらに天候の変化などでレース展開・作戦も変わってくるのが、目を離せない理由の一つだろう。
必須のアイテムになった「厚底シューズ」
さらに歴史が長いだけに、出場校の顔ぶれも様々だ。長年出場を続ける名門校がある一方、初出場を賭けて独自の強化策を採択するチームがあったりと、それぞれにドラマがあり、裏面も見逃せない。
また、テレビ中継が常に高視聴率を稼ぐだけに、意外なところに影響力がある。例えば、今や長距離選手には必須のアイテムになった「厚底シューズ」。箱根駅伝の出場選手たちが最初に履いたわけではないが、テレビ中継でその存在を知った人も少なくないのではないだろうか。長距離競技のトレンドを知るためにも、この大会はいい勉強になる。
長く続く大会だけに、コースの変更も含めてレギュレーションの変更も多かった。
100回大会においては、出場が叶わなかったチームの選抜選手で作る「関東学生連合」を結成しないということが気になる。かつて「学連選抜」として公式順位・記録があった時代には、学連選抜が10位以内に入ると、翌年のシード枠が一つ減る、という決まりがあった。つまり、予選会からの出場枠が「10」から「11」に増えたわけだ。独特の緊張感を漂わせる、いい設定だったと思う。
大学の中にも「連合チームを存続させるべし」という声がある。「連合チームを作るようになってから、個々の大学の強化につながった」という前向きの意見もあり、101回大会以降に選抜チームを編成するかどうかは注目の的だ。