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進まない高速渋滞、でも走行ペースは「流れのよい一般道」と同レベル

 とはいえもちろん、都合上どうしてもピークを避けられないケースもあるだろう。その際には「下道で渋滞区間を避ける」という選択肢が思い浮かぶかもしれない。しかし実際のところ、下道への迂回で時間を短縮できるケースは限定的だと考えられる。

 たとえば今回の年末年始シーズンにおいて最大規模の渋滞は、12月29日の東名高速下り線、秦野中井IC付近における40km程度の渋滞であり、通過には1時間40分を要する見通しである。かなり長い時間に思えるが、平均車速としては24km/h程度は出ている計算になる。

 ここで国土交通省による「全国道路・街路交通情勢調査 一般交通量調査」を見てみると、この数字は昼間の混雑していない時間帯に神奈川県の一般道を走行する際の平均車速(23.4km/h)と同等の水準であることがわかる。このように、「高速道路上ではほとんど進んでいないように思えても、実際にはそれなりに流れのよい一般道を走るくらいの速度は出ている」という傾向は、その他多くの渋滞スポットについて当てはまる。

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 加えて年末年始は、高速道路だけではなく一般道にもかなりの混雑が発生する。インターの出口が渋滞していたり、商業施設周辺の道路が混雑していたりと、普段とはまったく異なる様相を呈するため、通過に要する時間をその場で見通すのは難しい。

 さらに、冬の道路を走行するうえでの懸念点もある。とくに土地勘のない場所で下道に降り、車通りの少ない山道を走ることになった場合など、車道の除雪が済んでいなかったり、路面が凍結していたりする可能性を考慮しなくてはならないだろう。

「40km規模の大渋滞」でもタイムロスは“1時間程度”

 さまざまなリスクをふまえると、高速道路が渋滞していても、そのまま解消を待ち続けることが確実かつ安全であり、さらに到着時間の面でも有利であることが多い。とりわけ今年度の年末年始は、先述のように他の休暇シーズンに比べると混雑の度合いが控えめである。アクアライン付近を除き、悪名高い渋滞スポットにおいても通過に2時間以上を要する渋滞は予測されていない。

「渋滞35km」などと聞くと絶望的な気持ちになるが、NEXCO各社による予測を見ると、30kmから40km規模の渋滞でさえ所要時間の増加分は1時間程度で済む見込みだ。たとえば12月29日の東名高速下り線における40km規模の渋滞では、通過所要時間は「1時間40分」と予想されており、通常時の「30分」に対する増加分は1時間10分である。

 年末年始において最大規模の渋滞でも1時間程度のロスで済むと考えれば、あらかじめ「このくらいはかかるもの」と想定したうえで帰省するのも手かもしれない。