水木しげるの生誕100周年を記念して作られた映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が、興行収入27億円を超えるメガヒットとなっている。作中には原作者・水木しげるが描いた作品へのリスペクトを感じる要素が多数登場する。関係の深い作品を読み直し、『ゲゲゲの謎』だけでなく、水木ワールドの奥深さにも触れてほしい。
現在発売中の『週刊文春エンタ+ 特集『怪獣8号』/水木しげると「ゲゲゲの謎」』では、『ゲゲゲの謎』に登場した妖怪たちについて詳しく解説している。この記事では、その中から4体の妖怪を紹介する(本記事中で『大全集』とある収録巻情報はすべて『水木しげる漫画大全集』(講談社)のもの)。
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◆つるべ火
『ゲゲゲの謎』で水木とゲゲ郎が膝を突き合わせて話す際に、タバコに火を付ける役割を果たしたのがつるべ火。「少年マガジン」版『ゲゲゲの鬼太郎』の「モウリョウ」の回(『大全集』031)に登場する。原作・アニメ含めて『鬼太郎』シリーズでは常に鬼太郎に味方する。
◆幽霊族について
『妖奇伝』「幽霊一家」(『大全集』022)や『ゲゲゲの鬼太郎』「鬼太郎の誕生」(『大全集』033)などでは、水木が鬼太郎の両親から幽霊族のルーツを聞かされる。幽霊族は人類より先に地球に住んでいた種族だが、人類の登場とともに地下に追いやられ、人が寝静まった夜中に食料を求めて徘徊していたところを目撃され、昔の人が幽霊と誤認したようだ。なお「幽霊一家」では、幽霊族の最盛期は紀元前2万年前とされている。
水木作品では、カッパと言えば「相撲」ではなく「野球」
◆カッパ
水木作品といえば忘れてはならないのがカッパ。『ゲゲゲの謎』でもゲゲ郎や水木の乗る船を押してくれた頼もしい味方だ。水木作品での登場は古く、昭和33年に刊行された貸本『お笑いチーム』(『大全集』002)では、主人公の健ちゃんがボートに乗っているうちに流されてしまい、カッパの国へとたどり着く。このあたりのプロットは『河童の三平』(『大全集』056)にも通じるところだ。