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佐藤 海の名前も難しいですよね。黒海や黄海、紅海……それぞれ、世界地図のどの辺にあるのか。実は、小学校の地図帳にもちゃんと載ってます。でも「太平洋と大西洋、せいぜいオホーツク海しか知りません」ぐらいで高校に行くと、辛くなっちゃいますね。

 もうひとつは……これはすべての高校に当てはまるわけではないですが、「世界史の授業がつまらない」。つまり教える側の問題ですね。僕は毎年、代ゼミの企画で高校の先生向けに指導法講座をやっていますが、先生たちはいい授業をやりたいけれど、方法がわからずに悩んでいるという現実があるんです。

 一方、世界史嫌いの生徒に話を聞くと、「先生は教科書を読み上げるだけ」「単語の羅列で辛い」。あと、意外に多いのが「細かく教えすぎて、生徒が概要を理解できない」。これ、“世界史教師あるある”なんですよ。

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©文藝春秋

──授業で細かく教えるのはダメ?

佐藤 ダメではありませんが、細かい話が面白いとは限らないでしょう? そういうのは「世界史大好き、授業中は目がキラキラ」な生徒にはウケますが、ほとんどの生徒は「あ~あ、世界史って細かいな」と受け取りがちです。「あの先生、ひとりで熱くなってんなー」と授業を遠巻きに眺めている生徒が、実はたくさんいるんですよ。

 だから誤解を恐れずに言えば、高校の歴史の授業はある程度、薄っぺらくていいと思うんです。そして教える側は、「熱く語りたい」箇所を生徒が飽きそうなタイミングで入れていく。そういう年間スケジュールを立てることが大切かなと。

歴オタ教師が、歴史上の出来事を超詳しく語ると…

──授業が薄っぺらでいい?

佐藤 大げさに言えば、ですよ。世界史は国・英・数と違って、ほとんどの生徒が「知識ゼロ」の状態で授業を受けます。そこに歴オタ教師が、歴史上の出来事を超詳しく語る……これ、生徒によっては地獄でしょう? もちろん、生徒にウケる面白い話を持っているなら問題ないですが、「どうだ! オレは真実を知っている」的な教え方はご法度ですね。

 たとえば、僕の卒論は『ジャンヌ・ダルクと百年戦争』でした。このテーマを語れと言われたら、5時間くらいは余裕でいけますよ(笑)。

(YouTube『ユーテラ授業チャンネル』より)

──それは……生徒としては辛いかもです。