「セダンは車の基本形」も今は昔、街ゆく車はミニバンやSUVばかりになった。「車高の高さ」が正義の時代に、“車高短セダン”に魅入られてしまったマニアたちの素顔に迫る!

 今回は、トヨタ・クラウンを過激にカスタムする工場勤務の田波さんをご紹介。

内装のアイデアを思いついた瞬間は楽しいが、形にしていく作業はやはり大変だという

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見た人の「驚き」を原動力に

 高校生の頃からVIP系の車に乗りたいと思っていて、免許を取ってまずチェイサーを弄りはじめ、20歳くらいの頃からイベントにも展示するようになりました。

 ただ、それから間もなく結婚をして、子どもも2人できたので、ガッツリ弄るわけにもいかなくなって。ワゴンRに乗り替えて、ちょこちょこ弄るくらいに留めていたんですよ。それでも最終的には、ワイドフェンダーを組んで白ナンバーに構造変更するくらいになっていたんですけどね。

カスタムカーのイベントで多くの賞を受賞している車両だ

 その頃はまだ、当時の妻から何か言われたりすることはなかったんですけど……。子どもが少し大きくなってステップワゴンに乗り替え、ちょっとずつ弄っているうちに、「お金もかかるしやめて」と言われることが増えていって。

イベント時には開放する前提でトランクを作り込む

 そういうすれ違いもあって、最終的に別れることになったんです。子どものうち1人は自分が引き取って、今はもう23歳の社会人ですね。

 息子は昔から車には興味がなくて、免許を取った時はこのクラウンに乗ってもらおうとしたんですけど、一切関心を示さなくて。本人はゲームをしているのが一番楽しいみたいですね。

妖しい夜の香りが漂う車内

 やっぱり離婚してからは、改造もかなり加速しましたよ。10年くらい前にこのクラウンを買ってからは、色も3回くらい塗り替えていますし、イベントにあわせて年に2回くらい仕様を変えて。車両含めて700万円くらいはかかっていると思います。

来場者の目を引きつけてやまない圧巻の内装

 ただ、これでも安く済んでいる方で、内装のデザインや型どりは自分でやって、実際にMDFなんかで形を作るのは知り合いの板金屋さんにお願いしているんです。いつも仕事終わりに夜な夜な来てくれて、ほんとに感謝しかないですね。

 普段はだいたい足用の軽で、こっちは基本的にガレージで眺めて楽しむくらい。やっぱりイベントに出すといろんな人から反応があって楽しいですね。

各地のイベントで入賞を続け、界隈ではよく知られる存在に

 カッコいいっていう感覚は人それぞれですから、別にそう言われたいとは思わないんですけど、とにかく「スゴっ」という反応が嬉しくて。最近は来場者が通るたびにそういうリアクションをしてくれるので、展示のしがいがありますね。