学費を「出す」と言った父から約束を反故にされ...「朝6時からバイト」で疲弊
――そんな中で、桜蔭中学校に見事合格されます。
くるみ 桜蔭合格はそんなに大変なことではなくて、受かるだろうなという感じでした。ただ、入ってみると、やっぱり桜蔭生は皆、上流階級の人たちでしたね。
家庭科で調理実習をやると、皆いいところのお嬢様なんで、家の手伝いもしてないから、野菜を切れないんです。だから、家庭科では無双してました(笑)。
――周りとの格差を感じた?
くるみ 中1のときに親が別居して、私は母方についていったのですが、母はずっと専業主婦だったので再就職が難しく、結局、学童保育のパートをしていて。
収入は月10万円とかのアルバイトレベルなので、当時は住民税非課税世帯だったんです。住民税非課税世帯の桜蔭生は、自分だけだったと思いますね。だから、将来は絶対お金に困らない生活をしようって思ってました。
大学の新歓会場は「叙々苑」
――その後、慶應義塾大学医学部に進学されます。こちらも、かなりお金のかかる学校だと思いますが。
くるみ 桜蔭よりさらに恵まれた子たちが集まっていました。新入生歓迎会が六本木のクラブだったり叙々苑だったりして、こういう世界もあるんだと思いました。
――お医者さんを目指していたのでしょうか?
くるみ 高3のときに側彎症という背骨が曲がってしまう病気になって、慶應義塾大学病院にお世話になったことがきっかけで、お医者さんもいいなと思ったんです。
それで馴染のあった慶應と東京医科歯科大を受けて、両方に受かって。そのとき父親に学費の相談をしたところ、当時は「出す」と言ってくれていたので、それを信用して慶應に進学することに決めてしまいました。
――実際には、学費は出してもらえなかった?
くるみ そうなんです。入学後に両親が離婚して、父からも約束を反故にされてしまったので、自分で学費を稼がなくちゃいけないことになって。ただ、合格後に特待合格だったことがわかったんですね。
特待合格で学費が年200万免除
――それって、めちゃくちゃすごいことですよね。
くるみ 合格すること自体は難しいことではなかったんですけど、特待合格はちょっと予想外でしたね。入試の成績が上位10位くらいに入ると特待生になるんですけど、それによって学費が年間200万円、免除になるんです。
もともとの学費が年間360万円だったので、特待生になったことで160万円になって、さらに奨学金が年間100万円ぐらいはもらえていたので、自分が働けばなんとかなるかなと思ったんですね。
――じゃあ、入学後からかなり働かれていた?
くるみ めっちゃ働いてました。朝6時から家庭教師のバイトを入れて、そのご家庭で朝ご飯をいただきつつ勉強を教えて、大学の授業が終わったらまた夕方から家庭教師のバイトを2件かけ持ちして、みたいな生活でした。