パリオリンピックが、宴もたけなわである。日本人選手の活躍やら、開会式や選手村を巡るあれこれやら、やっぱりオリンピックは何かと話題に事欠かない。
パリのオリンピックが話題になればなるほど、引き合いに出される機会が多くなるのは3年前。そういえば、東京でオリンピック、やっていましたね……。
東京でのオリンピックは、コロナ禍での1年延期だとか無観客だとか開会式を巡るゴタゴタだとか、それどころか後になって露見した収賄のどろどろだとか、なんだかいろいろとミソがつきまくってしまった。ただ、少なくとも選手たちの熱戦の価値と、そうしたゴタゴタが関係ないということだけは間違いない。
そして、その東京オリンピックのメインスタジアムになったのが、国立競技場だ。
この国立競技場だって、建て替えを巡ってなんだかんだとこちらもいろいろとミソがついた。みなさん、ザハ案、覚えていますか?
ともあれ、そんな国立競技場の最寄り駅のひとつが、JR千駄ケ谷駅である。
いろいろあった“オリンピックの最寄り駅”「千駄ヶ谷」の“語られない過去”に何があった?
千駄ケ谷駅は、どうにも不思議な駅だと思う。国立競技場をはじめ、神宮球場や東京体育館といった大規模なスポーツ施設が駅の近くに目白押し。つまり、ひとときにとてつもないくらいのお客が押し寄せるということだ。
なのに、千駄ケ谷駅に停まるのは、中央・総武線各駅停車、つまり黄色い帯の電車だけだ。オレンジの帯を巻いた中央線の快速電車は、脇目も振らずに千駄ケ谷駅のホームの脇を駆け抜けてゆく。
もちろん、この辺りには他にも駅があって、都営地下鉄大江戸線の国立競技場駅や、少し離れたところの地下鉄銀座線の外苑前駅などがある。中央・総武線の信濃町駅からだって徒歩圏内だ。これらが互いに補い合うことで、大量のお客をさばくことができているのだろう。
しかし、そうはいっても、である。国立競技場は二度にわたって聖火が灯った、いわば日本のスポーツの聖地である。その最寄り駅だというのに、なんだか扱いが小さすぎやしないか、と思うのだ。これはいったい、どういうわけだろう。そんなわけで、あの東京オリンピックから3年後の千駄ケ谷駅にやってきた。