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大統領選挙の日程のひみつ

入山 なるほど。最後に池上さん、どうですか。今回もまたアメリカ大統領選挙の見どころというか、ポイントはどうですか。まず1つは討論会が相当面白くなりそうだと思いますが。

池上 今回のアメリカの大統領選挙って11月5日の火曜日なんですよ。中途半端だと思いません?

入山 そうですね。なんで火曜日なんでしょうね。

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池上 これは規定がありまして、アメリカ大統領選挙って4年に1度で、11月の第1月曜日の翌日って決まってるんですよ。火曜日じゃなくて、「第1月曜日の翌日」になっています。

もともとアメリカで大統領選挙をやりはじめたとき、アメリカは農業大国でした。10月でだいたい刈り入れが終わって、感謝祭が終わる11月の下旬になると、冬支度をしなければいけない。11月の上旬は農閑期だから、選挙をこのときにやろうじゃないかということになった。でも、キリスト教の国だから、日曜日は教会に行く日で、日曜日に投票できない。じゃあ、月曜日か。でも当時はまだ交通機関が発達していなかったので、月曜日に投票に行くためには日曜日に出かけなきゃいけない。あるいは、選挙管理委員会の人は日曜日から働かなければいけない。だから火曜日だよねっていうことになった。じゃあ、「第1火曜日」にすればいいと思いますよね。でも、第1火曜日にすると11月1日になってしまう可能性があります。11月1日というのは、諸聖人の日というキリスト教にとって大事な日なんですよ。だから11月1日じゃダメなんですよ。

 

入山 すごいですね。選挙の日程も、宗教的な理由で決まっている。

池上 そうなんです。結果的に11月2日以降の火曜日にするために、「第1月曜日の翌日」と決まっているんです。また、第2火曜日にすると、11月の中旬になっちゃって冬支度に影響が出るから。

入山 面白い! 第1火曜日じゃなくて、第1月曜日の翌日。というわけで、日程も気にしていただければということで、今回本当にありがとうございました。

池上 ありがとうございました。


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