実家に届いていた異変
そして、この手紙から4年後――。母が待つ場所とは程遠いところに大木は今いる。
「直接会ってないけど、滉斗を信じて、帰る場所は作っとかなあかんと思ってずっと……。でも恩返しをするって言うのも実現できてないやんか。だから帰って来られへんやったんとちゃいますか。やっぱりお金に困ってたんやろうか」
大木が就職した時から、実家からの仕送りは基本的にしていないという。しかし現住所に設定してある実家には今回の犯行の動機と言えるかもしれないものが届いていた。
消費者金融から借りた30万円の返済請求である。A子さんが続ける。
「金遣いは荒くない子。そんな派手なもの身につけへんし、タバコも吸わん、酒にも浸っていた様子はないですし。今まで貯めてきたお年玉もその時送ったんです。何でそんな金必要やったんか……」
最後に、憔悴しきった様子でこう言葉を振り絞った。
「息子がこのような事件を起こしたいのはまさかのことであり、戸惑いと驚きと悲しみで心の中が渦巻いてます。被害者のご家族、ご友人は大きな喪失感、悲しみで大層心乱れておられることを察して、心が痛んでやみません。適当な言葉も頭に浮かびません。私の存在が息子の抑止力にならなかったことが残念です」
被害者だけでなく加害者の家族も不幸に突き落とした今回の事件。大木をそこまで駆り立てたものはいったい何だったのか。
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