『ミラクルタイプ』の3年後には、劇団☆新感線の『髑髏城(どくろじょう)の七人』(04年)で初舞台を踏んだ。しかしテレビの世界との勝手の違いに戸惑い、かつてない大苦戦を強いられることに。
「舞台の仕事に関わるようになって大きく変わりましたね。30代頭ぐらいのときに劇団☆新感線さんの『髑髏城の七人』という舞台に出演したんですが、しごかれたのなんのって(笑)。舞台は、脚本も演出も役者もみんなダイレクトに責任が降りかかってきますから、ダメなところがあると、すぐに周りから指摘されます。みんなの目の前で恥をかきますからね」(「とらばーゆ関東Job」のインタビューより)
だが、この苦い経験によって坂井は「ようやく自分のやりたいことに気づき始めた」という。20代のときには一生の仕事とは思っていなかった女優を、心の底から「続けたい」と思えるようになったという。
星野源とディープキスを交わし、自ら下着をはぎ取ると…
そして38歳の時に主演した映画『ノン子36歳(家事手伝い)』(08年)で、体当たりのラブシーンを演じて高い評価を得たのだ。
坂井が演じたのは、元芸能人でバツイチ、実家に戻り日々無気力に暮らす36歳の女性。芸能界の厳しさを知った坂井にとって等身大の女性を演じ、フルヌードでのラブシーンにも挑んだ。
鶴見辰吾演じる元夫に迫られた時は「まだちゃんと勃ってないじゃない」と挑発。
また星野源演じる世間知らずの青年と熱いディープキスを交わし、自ら下着をはぎ取ると「もっと激しくしよ」とフルヌードでの行為におよぶ。星野源に覆いかぶさられて甘美な声をあげる2分以上続く絡みは視る者を魅了した。
何かを吹っ切ったかのような坂井の演技により、この作品は映画雑誌『映画芸術』で同年日本映画ベストテンの見事1位に選ばれている。