大井川知事は、県内トップの進学校である県立水戸第一高校を卒業。東京大学法学部、ワシントン大学ロースクールを卒業して経済産業省の官僚となるなど「エリート」コースを歩んでいる。高校時代の同級生は「大井川君は友だちも作らず、ひたすら勉強して東大を目指していた」と当時を振り返る。そして2003年に経済産業省を退官。マイクロソフトアジア、シスコシステムズ、ドワンゴの役員を経て県知事選に挑んだ。県議会議員のなかに知事を超えるような経歴の議員がいないことから「なかなか言い返せないのでは。だからワンマン政治がまかり通る」という見方も強い。
それでも大井川知事のワンマンぶりに「いばらき自民党」がNOをつきつける場面もあった。前述した大洗水族館にジンベエザメを展示する方策については、ジンベエザメ2頭を飼育できる新たな施設建設に総額130億円がかかることから、2020年度の県当初予算として3億4700万円が盛り込まれた。これには自民党の反対もあり、2020年3月の県議会で全会一致の否決で白紙となった。
ひたちなか大洗リゾート構想が策定されてから5年が経つが、2024年6月の県議会で石井邦一県議は「どういったところを目指して作りたいと思っているのかが見えてこない」「2018年にリゾート構想が設けられ、その当時もいきなり出てきたのは、大洗にジンベエザメという話。構想を行なう上で、道路、インフラの整備、交通渋滞の緩和など、さまざまな要素を検証しながら進める。日立のパンダ誘致も、何か机上の空論でしか聞こえない。本当に現場を分かってやっているのか。(その他の事業も)ネーミング、キャッチフレーズはいいが、中身がついてこない。もう少し地に足をつけて進めてほしい」と言及している。
金持ち、大企業、“優秀”な人
大井川県政について、玉造県議はこう指摘する。
「金持ち、大企業、“優秀”な人に偏重した県政。本来、行政には所得の再配分を行なうことで福祉や教育を充実させる責務があります。大井川知事の興味関心は産業政策に集中し、公教育の底上げや経済的弱者への取り組みが足りない」