茨城県の「指標から見た茨城」を見ると、全国の都道府県のなかで順位が40位以下となっている項目に「公立特別支援学校教育費」、「図書館数(100万人当たり)」、「老人ホーム定員数(65歳以上、1000人当たり)」、「医師数(医療従事者、10万人当たり)」、「看護師・准看護師数(同)」などがある。県立唯一の重度障がい者を専門的に支援する「あすなろの郷」は、入所施設の建て替えによって定員が半減する。自治体が保障すべき福祉の分野は脆弱だ。
魅力度ランキング下位の茨城県
茨城県は長年、都道府県魅力度ランキングで下位から脱せない。ブランド総合研究所が行なっている「地域ブランド調査2024年」の「都道府県魅力度ランキング」で茨城県は45位、前年は47位で最下位だった。この魅力度ランキングは、認知度、観光や旅行に行きたいか、購入したい食品などの項目によってランクが付けられているが、項目にある「住んでみたいか」のイメージには自民党政治によるこの地の「生きにくさ」も潜在的に含まれているのではないだろうか。
茨城県周辺の都県で男女の賃金格差を比べると、栃木県がもっとも大きく、男性の平均年間賃金606万円に対して女性は385万円で格差が約37%ついている。茨城県は男性の平均年間賃金が約566万円に対して女性は約382万円で、格差は約33%。他の都県は30%以下。県内で子育て中の女性(40代)は、「茨城県ではまだまだ女性が活躍するなんてハードルが高い。結婚や出産で仕事を辞め、再就職してもパートがやっと」と嘆く。2023年4月16日の産経新聞では、「茨城県議で自民党県連幹事長の海野徹氏が取手市長選に立候補した無所属候補の出陣式の来賓挨拶で、対立の女性候補を念頭に『あっちも、あんまり美人じゃなくてよかった』などと発言した」と報じている。これらに茨城の女性をとりまく雰囲気がうかがえる。
県内を取材すれば、「地元の名士」「〇〇家」とのつながり、出身高校の派閥、会社命令で自民党を応援しなければならないなど、しがらみだらけ。今回、匿名での取材でも断られることが多々あり、実名で県政批判のできる人は限られた。魅力度ランキングが低いことの根底には、こうした自民党政治が大きく影響しているのではないか。
チェック機能が弱まっているこうした地域で何が起こっているのか。政治に緊張感がないことによるワンマン政治が全国各地で散見されるが、その一例として茨城県を取材し、次号以降、分野ごとに検証して連載する。
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連載「ルポ・イバラキ」の続きは、月刊「地平」でお読みいただけます。
