保秘貫徹の旧大蔵官僚、外務省人事に響くWTOショック、美智子様の“片腕”、統計不正の責任重く

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★保秘貫徹の適任者

 新元号制定で、最高レベルの国家機密を保たなければならない実務的な役割を担ったのは、内政を担当する古谷一之官房副長官補(昭和53年、旧大蔵省入省)だった。

 このポストは中曽根康弘内閣で官邸機能強化のために設けた内政審議室長が前身で、初代は的場順三氏(32年)である。その的場氏が昭和天皇の崩御から平成への改元までをこなしたことで、天皇の代替わり・改元の最重要黒子となった。

 その後、数代の室長にとって改元は差し迫った課題とはならなかったが、再び本腰を入れ始めたのは、2000年代になって内政審議室長が官房副長官補と名称が変わってからのことだ。複数の関係者は、二代目の副長官補だった伏屋和彦氏(42年)から事務的な詰めの作業が本格化したと証言する。

 副長官補室には元号だけを担当する職員がいて、副長官補とこの職員が学者に元号考案を委嘱する。委嘱した学者が亡くなれば新たな人を探す。年に1度は「図上演習」を行い、遺漏なきを期す。内政担当副長官補が交代する際、真っ先に引き継ぎするのは「代替わり・改元」の作法と手続きだという。

 伏屋氏の後は坂篤郎(45年)、福田進(46年)、佐々木豊成(51年)の各氏へと綿々と受け継がれ、古谷氏にバトンが渡った。

 興味深いのは、官邸主導や政治主導、財務省支配の打破が叫ばれた平成の間においても、代替わり・改元作業は、一貫して旧大蔵省出身者が独占してきたことだ。徹底した保秘が求められるうえ、個人のスタンドプレーや功名心は厳禁。となると、組織人に徹する旧大蔵官僚以外に「適任はいない」というのが、政府高官たちの結論である。

 なお、見事に改元作業を終えた古谷氏は、杉田和博官房副長官(41年、警察庁)の後任にも名前があがる。

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source : 文藝春秋 2019年6月号

genre : ニュース 社会 政治