20年前の構図、次期侍従長は中継ぎ、平成入省組が指導層に、リアル官邸ポリス

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★20年前の構図

 にわかに巻き起こった安倍晋三首相の自民党総裁4選論。6年以上にわたって政権とともにある官邸官僚たちはポスト安倍の動向に警戒を強め、霞が関には諦念と忖度、反発が混じり合う。

 今井尚哉(たかや)首相秘書官(昭和57年、旧通産省入省)が最も神経をつかっているのは菅義偉(よしひで)官房長官の動向だ。菅長官は携帯電話の料金引き下げや外国人労働者の受け入れ拡大などでここ1年間、独自色を発揮してきた。今井氏は、こうした菅長官の積極的な活動の背景には“総理総裁への野心があるのでは”と捉えているという。

 菅長官が師と仰ぐ梶山静六元官房長官は、橋本龍太郎内閣が倒れた後、総裁選に出馬した。当時の橋本首相の政務秘書官を務めていたのは現在、衆院議員の江田憲司氏(54年、旧通産省)。かつての江田氏も剛腕・梶山氏の動きに神経を尖らせていた。本来は政治家事務所の秘書が務める政務秘書官を旧通産省出身者が務め、番頭役の官房長官を警戒する――。20年前と同じ構図が今、首相官邸に展開されている。

 北村滋内閣情報官(55年、警察庁)は4選で超長期政権となる場合、霞が関の反発が官邸に向かうことを懸念してやまない。4選論が出た際、主要官庁では「こんな息詰まる政権が続くのはごめんだ」と悲痛な叫びがあがった。北村氏は、新たに官僚側からの反撃工作を呼び起こしかねないと危惧している。

 こうした状況に安倍首相本人は再三にわたり4選を否定して沈静化を図るが、すでに4選論は独り歩きを始めている。秋葉剛男外務次官(57年、外務省)、岡本薫明(しげあき)財務次官(58年、旧大蔵省)ら、かつてなら「首相にもモノ申す」姿勢をとってきた二大官庁のトップも利害得失を考え、表面的には沈黙を守るばかりなのである。

★次期侍従長は中継ぎ

 天皇代替わりに伴う宮内庁新体制で、新天皇皇后両陛下の側近トップに小田野展丈(のぶたけ)東宮大夫(45年、外務省)が持ち上がることになった。だが「小田野侍従長」は飽くまでも暫定とされ、代替わりの儀式の節目となる11月の大嘗祭が無事終わるまでのリリーフである。その後、早ければ年末、遅くとも来年早々に小田野氏は後任にバトンタッチする。

 これまで新侍従長候補に挙がったのは、佐々江賢一郎前駐米大使(49年)、別所浩郎(こうろう)駐国連大使(50年)、木寺(きてら)昌人駐仏大使(51年)の3人だ。

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source : 文藝春秋 2019年5月号

genre : ニュース 政治