ひたすら長嶋茂雄に憧れて立教大学に進学し、さらにプロ野球実況を夢見て、日テレのアナウンサーになった徳光和夫氏(84)。長嶋への積年の思いを語る。
あれは長嶋茂雄さんの80歳の誕生日パーティでの出来事でした。野球人生を振り返ってもらうために、聞き手の私は長嶋さんに目を閉じてもらい、こう続けました。
「目を開けてください。最初に浮かんだシーンは何ですか」
「天覧試合ですね」
立教大学から巨人軍に入団して2年目の1959年、昭和天皇が初めて野球をご覧になった試合で、長嶋さんは村山実さんからサヨナラ本塁打を放ちます。この試合こそが一番思い出深い試合だというのです。

2004年に脳梗塞に倒れ、障害も残っていましたが、100人近い参会者にはっきりと聞き取れる言葉で、あの日を振り返っていきました。天皇陛下は午後9時15分に後楽園球場を後にすることが事前に決まっていて、9回裏に打席に立ったのは9時12分だったのに、本塁打を放ち、二塁を回った時に貴賓室を見上げると、昭和天皇が手を振っていらした。その瞬間、「親孝行ができた」と思ったそうです。
その後も一問一答は続き、毎日2時間ほど歩いてリハビリに励んでいる長嶋さんは、現在の目標として「走りたい」と口にされました。この時、私は咄嗟にこう返しました。
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