長嶋茂雄さんが亡くなられた。

　私はここにあの人が4年間、リハビリの師匠として接してくださった記憶の残像を言葉に置き換えて、あの笑顔の向こう側を感謝をこめて書き記したいと思った。追慕である。

　病に倒れ、半年近い入院生活を経た後、私は外来でHリハビリテーション病院に通うことにした。いつの季節も午後のその時間にはガラス張りのこの場所には陽光が差し込み穏やかではあるが、そこは普通の場所ではない、身体を傷つけ何らかの不具合を抱えている人間たちの「失意と希望」が放射されていた。

　その時期、私の状態は何とか杖をついて歩けるまでになってはいたが、いきなり障害を持つものとして世間に放り出されて孤立し、現実に圧倒されて自分を見失い苦しい時期だった。

　そのような状態から以前の生活に少しでも近づき戻れたのは、ここであの人に会えたからである。ナガシマシゲオさん。

「イチ、ニッ、サン」の掛け声とともに私の前に現れた。「エッ、ホンモノなの！」

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