当社の創業者である飯田亮の旧制湘南中学時代の友人が報知新聞の巨人担当で、長嶋さんを紹介してくださったのがご縁です。1980年10月22日、長嶋さんに青森県八戸市で講演をお願いしていました。ところが前日、突然の監督解任。さすがに中止を覚悟したのですが、長嶋さんは来てくださいました。「約束したから来ました」とおっしゃった途端、超満員の会場は異様な熱気に包まれました。

　その後35年の長きにわたって、当社のイメージキャラクターを務めてくださいました。バッティングの印象が強い長嶋さんですが、守備も鉄壁でした。安全を守るセコムの企業イメージにぴったりなので、CM出演をお願いしたのです。全部で30本ありますが、タップダンスを踊ったり、リャマという動物と共演したり、何でも快く演じてくださいました。

　2002年、原辰徳監督の1年目に巨人がリーグ優勝した翌日に、たまたまCM撮影がありました。終身名誉監督の長嶋さんは深夜2時頃までテレビに出演されていたので、お疲れでないか心配でした。ところが元気一杯で、こうおっしゃったんです。

「実はあれ、前もって収録してたの」

　優勝の特番を事前収録していたことにスタッフたちが驚くと、

「引っかかった？　引っかかった？　引っかかった？」

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