前経営陣が決めたことをすべて洗い直した
「経営陣とマネジメント層を20%削減した。会社でリストラをする以上、まずはトップ層から行うということだ。この結果、1人の人間が幅広く責任を持つようになり、意思決定が早くなった。(執行の最高意思決定機関である)経営会議もこれまで月に1回だったが2回に改めた。意思決定の機会が増えることは、経営の早さにもつながる。急速に変化する世界情勢を考えればスピードアップにこそ価値がある。今の日産には無駄にする時間はない」

6月12日に筆者が単独でインタビューした際、イヴァン・エスピノーサ社長(46)は、こう熱弁をふるった。
日産は4月以降、これまでの役員制度を変更して、常務や専務、副社長といった肩書を廃止し、執行役以下の役員数を55人から12人に減らした。続けてエスピノーサ氏は、会議のための無駄な書類作成を止めさせたと明かした。
「組織風土改革も推進している。“What if”(もしも)と、会議で質問されることを想定した付属書類は作成しなくていいと指示した。準備した質問が出ないこともあるわけで、そんな仕事は無駄になる。その代わり『24時間以内に答えます』でOK。資料作りに注力するのではなく、生産性が高い付加価値のある仕事に注力すべきだ」
その言葉からは、意思決定と再建計画のスピードを上げないと、日産は生き残れないとの強い危機感が感じられた。
日産自動車は2025年3月期決算で、6709億円もの最終赤字を計上した。これは、過去3番目に大きい赤字額だ。史上最悪は、倒産寸前の危機に陥り仏ルノーから資本を受け入れた直後の00年3月期(6843億円)、2番目はカルロス・ゴーン元会長逮捕後に新型コロナ禍の影響が出始めた20年3月期(6712億円)だった。
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