池田勇人(いけだはやと)(1899―1965)は広島県生まれ。五高、京大と進む。五高では佐藤栄作と同期。大蔵省に入るが、数年して奇病にかかり4年余り闘病生活を送る。主税局長、事務次官を経て昭和24(1949)年の総選挙に出馬、当選する。第三次吉田内閣の蔵相に抜擢され、以後、内閣、与党の要職を歴任。35年、岸信介のあとを受けて首相となる。「所得倍増」政策を実行し、日本を経済大国へのレールに乗せる。39年11月、喉頭癌のため佐藤栄作に政権を譲る。
満枝(みつえ)さんは夫人。
昭和35年7月の総裁公選のとき、前尾(繁三郎)さんや宮沢(喜一)さんなど宏池会の先生方は、ひんぱんに東京・信濃町の私邸に出入りされ、非常にそわそわしておられました。しかし池田自身は、庭に滝を作るのに、石の据え方を職人さんに指示するなど、わりと悠々と構えておりました。池田は何か事があると、「山より大きな猪は出ないのだから、気を落ち着けて事にのぞめばいい」といっておりましたが、あのときは、そう自分にいい聞かせていたのだと思います。

いよいよ首相就任が決まって、官邸に入った池田から、
「おかげで総理大臣になれたよ。お前にも苦労をかけたけどありがとう」
という電話がありました。その途端、私はこういっていました。
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source : 文藝春秋 1989年9月号

