時が磨いた心を震わすことばの数々。偉人たちの息吹が甦る
山内 各人二十から三十の名言をもちよってその含蓄を味わおうという企画ですが、絞り込むのがとても難しかったですね。
歴史上多くのすぐれた人物が人生の節目節目に言葉を残す。その言に、その場に居合わせた人々や後世の人間が心を震わせ、後に伝えたのが「名言」でしょう。だから、現代人の我々をも揺さぶる力がある。
保阪 (それぞれのリストを見ながら)みなさん、やはり個性が出ますね。山内さんは古今東西から幅広く選ばれていて、イスラムの名言までフォローしている。私は昭和、大正の政治家、軍人を中心に選んでみました。一国の命運がかかったとき、人は何を考え、どんな言葉を残すのか。また、自分が取材し、直接聞いた中からも、是非残したい言葉が入っています。
伊丹 まさに「名言の誕生」ですね。現代の言葉のなかにも、耳にしたとたん光を放つようなものがある。
私は日本の経営者の言葉をなるべくたくさん入れましたが、彼らの言葉には現場から発する実感がこめられている。そこに説得力を感じます。
その代表が本田宗一郎。とにかく名言の宝庫です。「創意工夫は苦しまぎれの知恵である」「一度真似をすると永久に真似をすることになる」「こわれているお客の心を直すまでして、本当の修理業」「成功は99%の失敗に支えられた1%である」「社長も包丁、盲腸、脱腸も同じだ。要するに符丁で、人間の価値とはまったく関係ない」など、枚挙にいとまがない。パッと出た言葉が相手の心にビンと響く。恐らく、他人の心の律動を感知する能力があるのでしょう。
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source : 文藝春秋 2013年03月号