美食家として知られ、書や陶芸と幅広い分野で異才を発揮した北大路魯山人(きたおおじろさんじん)(1883-1959)。鎌倉の魯山人邸で1年間修行した懐石「辻留」の三代目主人、辻義一(つじよしかず)さんが魯山人の意外な側面を語る。
魯山人先生の所でお世話になったのは23歳、昭和31年の時です。
5月より1年弱おりました。魯山人の所で、3日もった人がいないと聞き、魯山人てどんな人やろう、一遍試してやろうと、生意気な青年は考えて、父に段取りをつけてもらいました。

夜行列車で大船に向かい、鎌倉へは自転車で向かいました。玄関に立って、大きな声で「おはようございます」と挨拶したら、先生自らが、「おお」と、いきなり出てみえられたんです。
お茶をいただいていると、「夜行で疲れたろうから、休んでこい」と、優しくおっしゃってくださいました。
夢境庵(むきょうあん)という離れの茶室に、布団が敷かれていて、お言葉に従い横になったものの、興奮して寝られない。
それで1時間後、母屋に行って、「なにかご用はございませんでしょうか」。すると、「ん?」と言って、これから箱書きをするから墨をすれと。
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source : 文藝春秋 2013年1月号

