江田三郎(えださぶろう)(1907―1977)は岡山県生まれ。東京商大在学中から農民運動に入る。戦後、社会党に入党、参議院議員となり、昭和35(1960)年、書記長に就任する。構造改革路線にのっとった「江田ビジョン」を提唱し一般的人気は高かったが、党内左派には目の敵にされる。52年3月、離党、社会市民連合を結成するが、直後に死亡。
江田光子(みつこ)さんは夫人。長男五月氏は社会市民連合の後身「社民連」代表、代議士。
今、社会党を中心にして野党連合が盛り上がっていますが、かつて野党連合を叫んだ江田がすでに亡くなってしまったことは、残念の一言です。
「政権を取らない政党は、ネズミを取らない猫だ」と江田が発言したことを逆手にとって「大臣病患者」と悪(あ)し様(ざま)にいう人さえいました。でも、主人は「一般情勢というのは、時を待つということがなければ、こちらへ陽があたるようなことにはならない」とよく言ってましたので、やっとその時期が到来したのでしょう。

俺の恋人は社会党だよ
もう、社会党に対して特別な怨念はありません。一昨年には土井委員長が自宅を訪ねてこられ、仏様を拝み、仏前に供物を供えてくれました。そのときのことを私はこう短歌に詠みました。
「水炊きをよくご馳走になりましたね」と
言ひつつ目前に土井委員長
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source : 文藝春秋 1989年9月号

