大盛況! ロンドン公演の陰の功労者

第58回

エンタメ 国際 スポーツ

 10月、5日間にわたって開催された大相撲ロンドン公演が、大盛況のうちに幕を閉じた。実に34年ぶりの公演で、大相撲一行は歓待を受け、初めて間近に見る異国の文化に現地の観客は熱狂した模様。大成功の裏で、その準備に奔走していたのは、担当行司たちだ。実は行司は取組を裁くだけでなく、日ごろ「ツアーコンダクター」のような役目を果たしてもいる。巡業地への移動は、行司がチケットを手配したり、バス移動の座席や宿泊先の部屋割りを考えたりと大忙し。今回のロンドン公演では3人の行司が担当したが、そのうちのひとりである式守錦太夫が説明してくれた。

ロイヤル・アルバート・ホール前で記念撮影する関取衆、協会理事たち ⒸPA Images/時事通信フォト

「そもそもロンドン公演の話は5年前からあったんです。でもコロナ禍があり、エリザベス女王が崩御なさって今年の開催に。1年前に視察し、現地の宿泊先や交通事情などを確認してきました」

 それからは仲介企業を交えて毎月3、4度の会議を重ね、時には英国側の担当者が来日して協議することもあったそう。巡業や公演で飛行機移動する際、力士がA班B班と二手に分かれるのは、万が一の事故を想定しての対策だ。

「横綱大関、同部屋の力士たちも同じ便にせずに2便に割り振ります。今回は体重を申告することはなかったですが、離島の巡業で小さなプロペラ機を利用する時は、力士たちの体重を考えて左右バランスよく配置したりするんですよ」

 今回、横綱大関はファーストクラスで、若い衆はエコノミー3席をふたりで使用。シートベルトの長さが足りない力士は事前に申告し「Wベルト(延長ベルト)」を用意してもらったのだとか。

 英国側の要請で土俵の神様を迎える儀式「土俵祭」も粛々と行われ、装束や道具一式も日本から運び込んだ。

「検疫上、榊や土俵中央に埋める鎮め物の米などは持ち込めず、現地調達でした。われわれ担当行司は先発として現地で力士たちを迎え、力士たちを見送ったあとに帰国しました。滞在した2週間、毎日、宿泊先と会場のロイヤル・アルバート・ホールの往復だけでしたよ(笑)」

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source : 文藝春秋 2025年12月号

genre : エンタメ 国際 スポーツ