いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。

初の女性総理誕生に永田町は沸いている。だが、2026年の日本の政治風景は、出口の見えない荒れ模様が続くだろう。その根源は、自民党内の分断がもはや修復不可能なレベルに達してしまったことにある。
高市早苗氏の新総裁就任直後に行われた党内人事は、まさに分断を感じさせるものだった。高市総裁誕生を後押しした麻生太郎氏と茂木敏充氏及びその周辺、そして旧安倍派の一部に対して論功行賞的に重要ポストが与えられた。もちろん、政治が権力闘争である以上、トップが変われば人事も変わるのが当然だ。だが今回は論功行賞が優先された。麻生氏を副総裁に迎え、幹事長に麻生氏の義弟である鈴木俊一氏を据えたのは象徴的だ。
また、重要ポストの人事も、熟慮された形跡がない。たとえば党税制調査会長を長年務めた宮沢洋一氏が交代となった。積極財政を掲げる高市氏としては、財政規律派の宮沢氏を降ろしたかったのだろう。だが、党税調は各方面との利害調整が必要とされ、一朝一夕で務まるポストではない。加えて財政積極派の片山さつき氏を財務大臣に起用したことで、「高市カラー」を出したつもりなのかもしれない。しかし、実績や適性を考えず、アベノミクスの模倣を目指しただけの場当たり的な印象がぬぐえない。官邸人事をみても、まるで「安倍晋三政権3.0」を目指しているかのようだ。
公明党が自民党との連立から離脱し、新たに日本維新の会が加わったが、連立合意の経緯も、自民党内に不協和音を生んでいる。
連立合意書には「衆院議員定数一割削減」「企業団体献金の廃止」など維新が強く求める絶対条件が盛り込まれ、自民党内には驚きが広がった。これらを合意書に盛り込むことについて、高市氏が事前に党内に根回しをした形跡はない。また合意書には「議員立法案を提出し、成立を目指す」「高市総裁の任期中に結論を得る」といった語尾が付け加えられ、玉虫色の印象を与えるものとなった。連立欲しさに高市氏は維新の要求に食いついたものの、党内の分裂を生む“毒まんじゅう”を飲み込んでしまったのかもしれない。
懸念されるのは国会対策だ。少数与党となった自民党にとって、国対は死活的に重要である。だが、国対で手腕を発揮してきた森山裕氏の後任の幹事長は、実績に乏しい鈴木俊一氏である。国対委員長に抜擢された梶山弘志氏は、国対で右に出るものはいないと言われた剛腕、故・静六氏の子息だが、残念ながら国対は歌舞伎の襲名のようにはいかない。
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