いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。
昭和天皇とその后、香淳皇后に関する重要な史料や公式記録が続々発刊、公開されている。戦後に初代宮内庁長官となった田島道治が天皇とのやりとりを記録した『昭和天皇拝謁記』全7巻(岩波書店、2021~23年)、戦中期の侍従長、百武三郎が記した『百武三郎日記』全3巻(同、2025年、2巻まで刊行)、そして皇后の日々の活動を編年体で記録した「香淳皇后実録」(宮内庁ホームページに公開中)などだ。
昭和天皇と香淳皇后の間には2人の親王と5人の内親王が生まれ、うち1人の内親王を除く6人が育ったが、彼らの多くは皇室の習慣にしたがって別居する期間が長かったうえ、戦時中には日光や塩原などに疎開したため、一家団欒の機会はごく限られていた。さらに敗戦後には母の皇太后節子(貞明皇后)や弟の高松宮、三笠宮らが退位論を唱えた。
『昭和天皇拝謁記』には高松宮や三笠宮を難じる天皇の言葉が記されている。51年12月17日の発言はこうだ。
「〔高松さんは〕直接私に退位を仰つた。そして毎日の事ではないから御病身でも秩父さんが摂政にならればいゝといはれた。之はほんとの私の邪推だか(ママ)実際はどうだか分らぬが、其時口では秩父さんといつてたが腹では自分と思つてゐたのではないかしら」
天皇が退位して未成年の皇太子明仁(現上皇)が即位すると摂政を置く必要があるが、高松宮には摂政になりたい野心があると非難しているのだ。

三笠宮に対する非難もまた激しく、53年6月24日にはこう述べている。
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source : ノンフィクション出版 2026年の論点

