いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。
この数年で首都圏、近畿圏では「街の風景」の一部にもなりつつあるシェア電動キックボード。最大手の「LUUP」に関しては、電動キックボード自体を指して「LUUP」と呼ばれるなど、かつてSONYの「ウォークマン」がポータブル音楽機器の代名詞として使われていたのと同様の現象も起きていて、普及に感心するほどだ。
ただ一方、悪評も非常に高まっており、信号を守らない、車道を逆走する、歩道を暴走するなど、いずれの悪評も「危険であるから」というに尽きる。
たしかに「新参者」は、批判を受けがちであり、新しい技術は初期の軋轢を乗り越えて、普及の階段を上っていくものかもしれない。しかしながら、このところの違反の蔓延と実際の事故の多さは、少々看過できないところまできている。
そもそも、最近の都内の道路は、こうした電動キックボード以外にも、「電動〇〇」がカオス状態だ。たとえば、電動キックと同じ「特定小型原付」には電動スクーターが参入してきたし、ここに加えてスロットルのついた違法モペッド(ペダルがあるのにモーターの動力のみで走行できるオートバイ。輸入などで購入されている)なども急速に増加してきた。オラオラ系の若者がナンバーレスの二輪車で、ヘルメットもかぶらず、ペダルも回さず、暴走しているのを、都内に暮らす方なら見たことがあるはずだ。これが違法モペッドで、ナンバーがなければ公道走行自体が違法である。ただこれらは、違法であるゆえに取締りはしやすい。

これに対し、電動キックボードと電動スクーターについては、2023年の法改正で「(特例)特定小型原動機付自転車」として認められてしまったため、存在は違法ではない。小さい真四角形のナンバーが付けられているのが特徴だ。
じつは、これが大きな問題を秘めている。無免許で運転でき、歩道通行も可能なのだ。歩道では6km/h以内で走らなければならないという規制はあるが誰も守っておらず、歩道上がカオス化している。シェアサイクルの黒船・Lime社などは渋谷区、港区などでいち早く電動スクーターをリリースしており、これには、インバウンド観光客も気楽に乗っている。右も左も歩道も車道もデタラメで、危険としか言いようがない状態だ。
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