令和に持ち越された宿題

わたしのベスト3

武田 徹 評論家・専修大学教授
エンタメ 読書
評論家・専修大学教授の武田徹さんが、令和に読み継ぎたい名著3冊を紹介します。

 災害の多かった平成の30年間は、天皇皇后が被災地を訪ね、避難者に優しく言葉を掛ける姿が頻繁に見られた。だが、そうした「象徴的」行為を越えて、現実的な救いの手を弱者に差し伸べる社会が作られていたかといえば、それは宿題として令和に持ち越されたというべきだろう。

 たとえば『若者を見殺しにする国』で赤木智弘は、終身雇用制からこぼれ落ちた就職氷河期世代の若者を救おうとしない日本社会の冷血さを告発した。強く固定された格差構造を崩すには、もはや戦争を希望するしかないとまで書いてゼロ年代論壇を震撼させた著者のメッセージは今なお古びることがない。それは令和になっても問題が一向に解決していないせいだ。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2020年1月号

genre : エンタメ 読書