「文藝春秋」の編集者が明かす、電子版限定の“ここだけの話”
どのひとに取材しても取材が面白いぞ。ノンフィクション作家の稲泉連さんと「がんで生まれ変わった10人」の取材を進める中で、稲泉さんと私はそんなことを語り合っていました。
短期集中連載「がんで生まれ変わった10人」はがんという病を得た人々がその病によって人生がどのように変わり、変わらなかったのかを描くものです。
この分野には柳田邦男さんの『ガン50人の勇気』という偉大な先達がいます。ただ、この本は1981年刊行。当時と今では、がんの治療法も生存率も全く違います。2014~2015年診断例のがん5年相対生存率は69%で、さらにこの10年でも治療法は進化しています。がんから死の予感がなくなっているわけではないけれども、がんは即座に死を感じさせる病気ではなくなっているのです。ただ、大変な病気であることには変わりはありません。

つまり、かつては「がんでどう死ぬか」という問題だったのが、今や「がんと共にどう生きるか」という問題になっているのではないか。そんなことを考えながら取材を始めました。
「縁遠い記事の担当になってしまった」と思っていたら……
前編では、原口文仁さん(元阪神タイガース)、梅宮アンナさん(タレント)、鈴木宗男さん(参議院議員)、御厨貴さん(政治学者)、垣添忠生さん(日本対がん協会会長)の5名の方にご登場いただきました。5月号掲載(4月10日発売)の後編に登場する、秋野暢子さん(俳優)、保阪正康さん(昭和史研究家)、安藤忠雄さん(建築家)、花村萬月さん(作家)、落合恵子さん(作家)と合わせて、がんの種類もステージもばらばらな10名に取材したことになります。

ばらばらに見えて、取材で多くの方に共通していたことがあります。それは、語り口のあっけらかんとした明るさ。重い話をしているはずなのに、取材が終わった後には、聞いているこちらが明るい気持ちになるのです。
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