日本高野連「伏魔殿」の研究

球数制限、暑熱対策……甲子園を牛耳る日本高野連「伏魔殿」の研究

鷲田 康 ジャーナリスト
エンタメ スポーツ

球児を守るよりも組織の維持が大事なのか?

阪神甲子園球場 ©iStock

 春、夏の甲子園大会を含めて高校野球全体の舵取りをしているのは公益財団法人・日本高等学校野球連盟(日本高野連)である。

 その日本高野連がつい最近、メディアを賑わせたのは、新潟県高野連による「球数制限」の問題だった。

 昨年12月に傘下の新潟県高野連が2019年の春の県大会で独自に「球数が100球に達した投手は次の回には投げられない」という球数制限ルールの導入を発表。これに対して2月20日の日本高野連の理事会が“差し戻し”を決めて待ったをかけたことに様々な批判が飛び交った。

 高校野球では投手の酷使による故障が過去に何度も問題となりクローズアップされてきている。

 1991年の夏の大会では沖縄水産高校・大野倫投手が県予選から痛みを押して投げ続けて、決勝戦で敗退後に右肘を疲労骨折していたことが判明。投手生命を絶たれるという事件があった。その後も愛媛・済美高校の安樂智大投手や千葉・木更津総合高校の千葉貴央投手ら投げ過ぎによる悲劇は後を絶たない。昨夏の大会でも“金農旋風”を巻き起こした金足農業高校のエース・吉田輝星投手が、秋田県予選からの総投球数が1517球にのぼり、活躍と同時に酷使がテレビのワイドショー等でも取り上げられた。

 そうした中での新潟県高野連の決定には、スポーツ庁の鈴木大地長官も「障害予防の観点から望ましい」と評価し、横浜DeNAの筒香嘉智外野手が「勇気ある決断にエールを送りたい」と賛辞を送るなど、大きな話題を呼ぶ事態となった。

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source : 文藝春秋 2019年5月号

genre : エンタメ スポーツ