佐久間裕美子氏(文筆家)
【一押しNEWS】なぜ世界で大麻規制が緩和されているのか/11月21日、日経クロステックオンライン(筆者=渡辺史敏)
プロ・スノーボードの選手、國母和宏が大麻取締法違反で起訴される直前の11月21日、日経クロステック(オンライン)に「米国で11州が使用解禁、スポーツリーグの大麻への向き合い方」と題した記事が出た。ジャーナリストの渡辺史敏氏によるこの記事は、これまで長く禁じられてきた大麻(マリファナ)の使用について、米スポーツ界4大プロリーグが見解を変え始める現状をレポートしている。プロリーグやスポーツ界が、大麻の規制を緩和する方向に動く背景には、すでにアメリカ33州で大麻の医療用使用が、また11州では嗜好用も含む全面的使用が合法化されて、実際に痛み緩和の効果について医療界からも認められるコンセンサスがあることがある。この記事は、アメリカンフットボールのジム・マクマーン氏やゴルフのグレッグ・ノーマン氏など複数の有名アスリートが、痛み止め効果のある大麻由来のサプリCBDビジネスに参画しつつ、自らが受けた効能を公言していることなども紹介している。
実際、野球の大リーグ(MLB)は、12月12日に、マリファナを禁止薬物リストから除外する方針を示した。この動きは、昨年7月に、ロサンゼルス・エンゼルスの投手タイラー・スカッグスが27歳で急逝した件と大いに関係がある。スカッグス選手の遺体からは、大量のオピオイド系医薬品とアルコールが検出された。負傷の痛みと闘うために服用を始め、依存状態に陥っていたという。依存性の高いオピオイド・ベースの鎮痛剤を駆逐するために、植物性であるマリファナの使用を自由化するべきだとの選手会や引退した選手たちからの要望に応えた形だ。
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source : 文藝春秋 2020年2月号