太宰から尾崎まで〜モテの系譜

第25回

山田 詠美 作家

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エンタメ 読書

「作家なんか死んだらおしまい。作品なんか残らない」

 生前、常々そうおっしゃっていたのは故・瀬戸内寂聴さんであるが、私も、「だろうなあ」、とつくづく思う。いにしえの名作文学も、戦後のベストセラーも、直近のトレンドを彩った話題の書も、作者が亡くなると、あっと言う間に人々から忘れ去られる。たまーに、謎の復活を遂げてたり、アーカイヴとして保存されていたものが再発見されたりして甦ることもあるが、ほとんどは亡きものになる。いや、熱烈読者の心の中では大切にされてたりもするが、読者自身が死んでしまうと、ほんと、おしまい。作家のワークなんてはかないもんです。

 しかし、滅多にないことだが、執念にも似た愛読者魂が、死んだ筈の作家を生き長らえさせる場合がある。たとえば、太宰治とか。文学を愛する人、いや、愛とまで行かなくても本好きなら誰もが知る作家、太宰治。そして、今でも熱狂的なファンを獲得し続ける太宰治。皆さん、何だって、そんなにも治が好きなんです!? いや、私も嫌いじゃないですが。

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source : 文藝春秋 2026年11月号

genre : エンタメ 読書