AI「無脳論」

AIと日本人

養老 孟司 解剖学者
ライフ 社会 テクノロジー

AIが人間を情報化する、新たな「脳化社会」を生き抜く処方箋とは

養老孟司氏 ©文藝春秋

 最近、「AIが人間を超える」とさかんに言われるようになりました。しかし、そうした議論には、バカらしくて与しません。

 もちろん、特定のジャンルで人間を超えることはあります。私が最初にAIに興味を持ったのは将棋がきっかけでしたが、将棋や囲碁はゲームですから、一定のアルゴリズム(計算方法)で処理ができる。だから、あらゆる手を吟味できるAIの処理能力を大きくして、高速化すれば、AIが人間を負かすのは当り前です。

 そもそも、人間はコンピューターやAIと勝負する必要はありません。たとえば、百メートル走をオートバイと競う人がいるでしょうか。同様に、計算に特化したAIと人間が計算で争ったところで、AIが勝つに決まっているんですから。

 また、AIが生物のようになる可能性はあり得ません。もちろん、コンピューターの世界のなかでなら既に実現しているし可能ですが、物質の世界で分子から組み立てていくことはできません。なぜなら、人工的に作れた細胞はないからです。

 さらに言うと、脳の観点から見れば、人間とAIは全くの別物です。ゼロとイチの二進法のアルゴリズムで動くAIが、人間の脳を本質的に超えるということはないでしょう。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2019年3月号

genre : ライフ 社会 テクノロジー