ゴーン事件とロッキード事件

日本再生 第93回

立花 隆 ジャーナリスト
ニュース 企業

 2018年11月19日、自家用機で羽田空港に戻ったばかりのカルロス・ゴーン日産自動車前会長は、着く早々機内に乗り込んできた東京地検特捜部の係官によって、その場で任意同行を求められ、東京地検で逮捕された。

 その様子はクローズアップではないが、機外からの遠景撮影という形で終始報道されていた。もちろんそれはゴーン逮捕の事前情報を特捜部から大略得ていた局があったことを示している。

 逮捕した東京地検特捜部は政財界の大物逮捕を中心的にになってきた。ここまでテレビに撮らせたのは、地検としても相当に自信があった(有罪にもっていける)からだろう。

 逮捕容疑は、金融商品取引法違反(有価証券報告書への虚偽記載)。有価証券報告書とは、企業の経営にかかわるあらゆる数字がのっている一件書類と考えればよい。その数字で株価はすぐに変動する。資本主義の根幹にかかわる書類だから、そこに虚像の数字をのせることは粉飾決算と同じで、最もしてはならないとされている。

 ゴーン逮捕のあと、この逮捕がいかに周到に準備されたものであったかが、新聞・週刊誌などの報道を通じて徐々に明きらかになってきた。

 今回、特に大きな働きをしたのが、日本の検察がこれまであまり表立っては使えなかった司法取引(悪事に荷担している人の罪を問わない、ないし刑を軽くする代りに、検察当局に協力させる方式)だ。これまでも、各種の組織犯罪(暴力団の犯罪ないし政治家の犯罪)を暴くために、検察はヤミの司法取引を利用してきたといわれるが、最近、それを公式に利用できるようになったのだ(ゴーンは公式司法取引適用者の二例目にあたるといわれる)。

 逮捕後次々に明きらかにされたことだが、ゴーンは日産の会社組織を利用して、驚くべき地位利用犯罪(一例をあげれば50億円以上にのぼる不正利得)を積み重ねてきたが、それを暴くために、司法取引制度の利用が効果を発揮した(社内でその不正利得に直接関与した人々からの告白を得たなど)と言われる。

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source : 文藝春秋 2019年2月号

genre : ニュース 企業