【ヒント】
2004年、東洋人で初めてオン・ブロードウェイの公演を手掛けた演出家は?
舞台への関心は、幼稚園児の頃から芽生えていた。
「宗家藤間流家元の藤間勘十郎さんの下で日本舞踊を習い、歌舞伎役者たちが真剣に稽古する姿を見て『大人の世界だ』と大興奮していました。発表会は歌舞伎座。『お夏狂乱』の演目で、僕が指さす方(扉頁)には、花道を通る藤間紫さんがいました」
演出家を志し、大学を中退。ダンサーや振付師として歩み始めた。
「母が亡くなった当日も舞台に立ちました。松竹歌劇団のレビューガールだった母は、演者として僕に夢を託したのかな。『舞台で生きる覚悟を決めなさい』と壮大なバトンタッチをされたような気がしました」
29歳の時、初めて演出を手掛けた『アイ・ガット・マーマン』がロングランのヒット。以後、ストレートプレイ、オペラ、歌舞伎など幅広いジャンルの演出を手掛ける。
「自分の人生の責任は自分でとれれば、失敗なんかないんじゃないかな。今はそう思えるから、新しいことに挑戦できるのかもしれません」
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source : 文藝春秋 2021年3月号