評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します
次々に難題に見舞われる日本社会では過去が刻々と風化してゆく。たとえば安保関連法制反対デモが国会前で展開された2015年、学生集団SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)が注目された記憶も既に薄れがちだ。
政治団体に所属する学生から既存勢力とは無関係に貧困や性暴力問題の解決を目指す学生まで偏りなく取り上げた小林哲夫『平成・令和 学生たちの社会運動』(光文社新書)のなかにSEALDsを見つけて「あの頃」を思い出しつつ、彼らが「戦後民主主義」を高く評価していたという記述が改めて印象的だった。
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source : 文藝春秋 2021年4月号