4月11日、中央競馬の阪神競馬場で開催された3歳限定の牝馬のレース桜花賞(GⅠ)で、白馬のソダシ(馬名のソダシは、サンスクリット語の純粋、輝きを意味する)が優勝した。
白毛馬によるクラシック制覇は史上初めてのことであった。
中央競馬に登場する馬の毛色は、個体識別要素の一つで、8種(栗毛、栃栗毛、鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、芦毛、白毛)があり、その中でも、白毛は極めて稀である。白毛は中央競馬の登録馬、現役馬8516頭のうち7頭しかいない。(4月18日現在)
白毛馬が誕生するには、突然変異型、遺伝型の2つのパターンがある。この突然変異で生まれた白毛馬から毛色を受け継いだのが遺伝型である。ソダシの祖は、2001年に活躍したシラユキヒメであり、白毛の登録馬7頭はすべてシラユキヒメ系である。なお中央競馬に競走馬登録された馬で突然変異により生まれたのは、シラユキヒメを含む4頭しかいない。
最近の遺伝子研究によると、1万4000年~7000年前の古代の馬は茶褐色になる遺伝子だけであったが、7000年~6000年前には黒毛になる遺伝子と2つになり、5000年前頃にはクリーム色や白毛になる芦毛の遺伝子が見つかり、そして4000年前頃には、栗毛や斑模様など多様な遺伝子が見られたという。5000年前以降の毛色の増加は自然選択の範囲から逸脱しており、人の手による育種選抜も考えられる。
古代において草原地帯から肥沃なメソポタミアの文明地帯にもたらされた馬は、各地の文明地帯に認められており、馬は人類の進歩に欠かせない生き物であった。馬の家畜化は、4000年ほど前の銜(ハミ)の発明とその後の鐙(アブミ)などの馬具の登場により文明の発達を促した。印欧語族の拡散もあり、馬は何世紀にもわたって、各地で、育種選抜が徐々に行われ、その過程で用途に適した特徴を備えた種々の馬が誕生したのである。古代のアッシリアでは、帝国内の各地に徴馬官を派遣し、多くの品種を集めていた。アレクサンドロス大王と覇権を争ったアケメネス朝ペルシア帝国も馬牧場に多くの品種をそろえていたことが記されている。
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