ここ数年、英語圏で日本文学の需要が高まっており、なかでも女性作家の作品が注目を集めているという。日本文学の英訳に携わる翻訳家、編集者、書店員、文芸イベント運営者といった「文芸ピープル」の声を聴き、英語圏における日本文学の現在を明らかにしたのが本書だ。
著者の辛島氏は1979年「東京生まれ、埼玉育ち」で、イギリス人の父と日本人の母を持つ。日本のインターナショナル・スクールからアメリカの大学、イギリスの大学院へ進み、現在は早大准教授を務める。自身も金原ひとみ『蛇にピアス』などを翻訳している文芸ピープルの一人で、前著『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』では村上春樹が英語圏でどのように受容されてきたのか、丹念に取材している。
辛島氏は日本の女性作家の躍進の背景に、英語圏のリテラリー・フィクション(日本の「純文学」に近い)分野で白人男性作家にかわり、女性作家が中心になりつつあることと、政治的な分断が進むことへ反発するリベラル層の中に「文学もアメリカ・ファーストだったのではないか」という機運が出てきたことを指摘する。そうした流れの中で、素晴らしい作品を書いている日本の女性作家へ注目が集まったのだ。
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source : 文藝春秋 2021年7月号