琴勝峰(千葉県柏市出身、佐渡ヶ嶽部屋、22歳)
次代の横綱候補 浪速で花が咲くか
先の初場所で2度目の十両優勝を果たした琴勝峰には、誰もが「将来の横綱間違いなし!」と太鼓判を捺す。
2017年11月、名門の埼玉栄高校在学中に初土俵を踏むと、2年後には新十両に昇進、弱冠20歳の関取となる。同年代には大鵬の孫である王鵬(当時納谷)や、朝青龍の甥の豊昇龍がおり、ライバルたちとの出世争いも注目を浴びていた。
師匠である佐渡ヶ嶽親方(元関脇琴ノ若)は、愛弟子のスピード出世に、「私は必ず一番にこの子を(十両に)上げてやろうと思っていました」と、その顔をほころばせていたものだった。
189センチ159キロの均整の取れた体躯で、組んでよし、押してよし。20年3月に初の十両優勝を果たして幕内に昇進し、東前頭三枚目まで番付を上げ、出世争いの先頭を走っていたかの琴勝峰だったが——。
5場所のあいだ幕内の座を守るも、ここ1年は十両に番付を落として足踏みをすることに。持ち前の力強さを発揮できず、その歯車はどこか狂ってしまっていたかのようだった。「1場所で幕内に戻るつもりでしたが、うまくいかないことばかりで落ち込んでいた」と当時を振り返る。
しかし、高校の先輩で兄弟子にあたる琴ノ若2代目が幕内優勝争いを繰り広げる姿に、大いに刺激を受けたという。「十両でもたついている場合じゃない。早く追い付かなければ」と思いを新たにし、十両優勝決定戦に臨んだのだ。
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source : 文藝春秋 2022年4月号