年金崩壊 すべての疑問に答える

「自民党」vs「ミスター年金」vs「金融庁委員」徹底討論

橋本 岳 自民党衆議院議員
長妻 昭 立憲民主党代表代行
駒村 康平 慶應義塾大学経済学部教授
諸星 裕美 社会保険労務士
ニュース 政治

▶︎自民党も残念な麻生大臣「受取拒否」
▶︎「無法地帯」厚生年金が危ない
▶︎金融庁の本音「2000万でも足りない」
▶︎「NISA」「iDeCo」も悪くはない
▶︎年金の「お得感」を国民は知らなすぎる
▶︎「繰り下げ」「付加年金」賢いもらい方は?

給付水準は年々低下する ©時事通信社

■「老後資金2000万円」を巡る政争

 長妻 6月3日に公表された金融庁の報告書は、まるで「老後に不足する2000万円は自分で用意しろ」と言わんばかりの内容でした。世論の批判を受けると、安倍晋三総理は「不正確で誤解を与えるものだった」と釈明しましたが、そもそも「老後に2000万円不足する」という試算は、総務省の家計調査を元に出されたもの。これまで何度も国会で議論されてきた数字で、これを否定するのは無理があります。

 橋本先生は祖父の龍伍さんと父の龍太郎さんが厚生大臣。ご自身も厚労副大臣を務めていましたから、それはわかっているでしょう?

 橋本 確かに、2000万円という数字自体は議論の材料の一つだと思います。ただ、年金以外の収入源や資産は人によってまったく違う。それを一緒くたにして「2000万円の不足」と表現してしまったことで誤解を招いてしまいました。

 駒村 マスコミの報じ方にも問題があります。「政府が年金の低下を初めて認め、国民に2000万円の貯蓄を求めた無責任なものだ」と報告書の一部を切り取って報道しました。報告書をまとめた金融庁のワーキング・グループの一人としては残念に思いますが、それ以上に、必要な政策が遅れることを心配しています。

 諸星 確かに「2000万円不足」という数字が一人歩きしました。これは、高齢の無職夫婦の場合、退職後の30年間で、毎月約5万円の赤字が発生することを前提に単純計算したものです。

 私は社労士として中小企業で働く人と接する機会が多いのですが、彼らも「老後は年金だけで生活できる」とは思っていません。「具体的にどうすればいいか」を知りたがっているのです。報告書にはそれが具体的にまとめられていたのですが、2000万円という数字にばかり注目が集まってしまいました。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
新規登録は「月あたり450円」から

  • 1カ月プラン

    新規登録は50%オフ

    初月は1,200

    600円 / 月(税込)

    ※2カ月目以降は通常価格1,200円(税込)で自動更新となります。

  • オススメ

    1年プラン

    新規登録は50%オフ

    900円 / 月

    450円 / 月(税込)

    初回特別価格5,400円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります。2年目以降は通常価格10,800円(税込)で自動更新となります。

    特典付き
  • 雑誌セットプラン

    申込み月の発売号から
    12冊を宅配

    1,000円 / 月(税込)

    12,000円 / 年(税込)

    ※1年分一括のお支払いとなります
    雑誌配送に関する注意事項

    特典付き 雑誌『文藝春秋』の書影

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2019年8月号

genre : ニュース 政治