著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、夏井いつきさん(俳人)です。
私の実家は、愛媛県の南端にある小さな村で、特定郵便局を営んでいました。郵政民営化の前は、家業として代々引き継がれている郵便局が数多くあったのです。うちの父は3代目の局長で、母は局員として勤めていました。
父は寡黙で、田舎のインテリといったタイプ。本を読むのが好きで、青年団でバンドを結成してギターも弾いていました。また、自宅には手作りの暗室を作って、写真を撮るのを趣味にしていました。私は本当にお父さんっ子で、変に子供扱いをしない、いつも対等に話をしてくれる父のことが大好きでした。
父との思い出で一番心に残っているのは、私が宇和島東高校に進学した時のこと。入学直前の春休み、数学の教科書の第1章を自分で勉強しろと宿題が出されました。数学が大嫌いな私は、ちんぷんかんぷんのまま高校入学を迎えます。すると入学式の翌日、いきなり数学の期首テストが出されたのです。生まれて初めて、20点台を取ってしまいました。
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source : 文藝春秋 2022年7月号