富野由悠季(とみの よしゆき・アニメ監督)
写真=釜谷洋史 (本社)
「こいつ……動くぞ!」
主人公アムロ・レイの名ゼリフさながら、巨大なガンダムが身を屈めて、腕を伸ばす。その先にいるのは富野由悠季(80)だ。「機動戦士ガンダム」の生みの親であり、60年近くにわたりアニメ界の最前線を走ってきた。
「昨年、文化功労者に選ばれたけど、なぜなのかよく分からなかった。宮崎駿さんがもらったのは理解できますが、僕には彼ほどの才能は一切ないからです。ただ、考えて気づいたのは、ガンダム世代と呼ばれた人たちが、文科省など中央官僚の中にもいて決定権を持つ年齢になったんだと。時代全体の変化を感じたね」
今月には新作映画「GのレコンギスタⅤ」が封切りに。幻の次回作「ヒミコヤマト」の構想を語る際には思わず笑みがこぼれ、熱がこもる。
「本当は死ぬまで楽させてほしいけど、そうもいかない。あと、もう一声、叫ぼうと思っています」
ガンダムファクトリー横浜で全長18メートルの実物大を前に。「奈良の大仏を造立するのに似ているね。完成品を見るといつも課題が残る」
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source : 文藝春秋 2022年9月号